アメリカ留学にはどのビザが最適?ビザの違いと取得方法

アメリカに入国して滞在するためには、身分を証明するパスポートとともにビザが必要になります。ビザとは外国における通行許可証であり、アメリカの学校に通う場合はアメリカ国内に滞在することになるので、滞在許可証が必要になります。アメリカ留学を希望する場合、どのビザを選ぶのか、またその取得方法について解説します。

アメリカ留学をする際のビザの選び方

取得できるビザには、アメリカに滞在する目的によって異なるビザが数多く存在します。またアメリカ入国前に在日アメリカ大使館から目的にあったビザを選んで取得をしておく必要がありますが、単純に書類を大使館に送付してもビザは取得できません。

 

アメリカに滞在できるようにビザを習得するためには渡米する目的と自分のステイタスを明確にすることと、取得方法に関して調べておく必要があります。

 

日本人の場合はビザ免除協定で90日以内であればビザがなくてもアメリカ国内滞在することが可能です。ただし、労働はできません。

 

しかし90日を超える場合は労働の有無に関係なく、ビザの申請と取得が必要になります。ビザの取得については就労、商用、研修などのいくつかのカテゴリーがあります。各種のビザ取得に関して複雑な規定や条件が存在して手続きが困難になる場合もあります。

 

アメリカに滞在して教育を受ける、または研修を受けて知識や技術を習得することを目的とした方にはFビザ、Jビザの他にMビザ、Oビザが必要になります。選択肢を間違えると滞在が不可になる可能性もあるので、十分に調査をすることで、目的にあったビザ取得をすることが大切です。

学生ビザであるF-1ビザ

F-1はアメリカ留学で一般的な学生ビザであり、アメリカ国内で認定されている大学や短期大学、私立高等学校や認可されているプログラムを使っての教育を受ける場合に必要になります。また一週間に18時間以上の授業を受ける場合にも、F-1は必要です。

 

取得する際にはI-20(入学許可証)を通学を希望している学校側から取得する必要があります。I-20とはビザの種類ではなく、学校側が海外からの留学生を受け入れるために発行している入学許可証で、申請をする際に必要です。

 

取得方法はI-20には履修学科また通学期間やコース期間、学校への登校開始日というように、留学に関する項目が詳細に記載されているので、届いた際には誤りがないかを確認します。さらにI-20が発行された後にアメリカ大使館または領事館でビザ取得についての面接を行い、合格することで取得可能になります。

 

有効期限は5年間で、アメリカ現地で転校が必要になった場合でも、引き続き同じビザで就学できるので、新たに別のビザを取得する必要はありません。

 

さらに学校によっては卒業するとオプショナルプラクティカルトレーニング制度が設けられていて、在籍している学校の責任者から許可を得てから申請を行うことで、最大1年の就労が可能になります。

専門学校への留学に必要なM-1ビザ

M-1はF-1と同様に学生が留学する際に取得しますが、単なる学生ビザではなく、職業の習得を目的とする学校への通学を希望する際に必要なビザです。語学を学んだり学術的なプログラムで教育を受けるのではなく、技術を身に付けることを目的にしている方、専門的知識を学校で学び習得をすることを希望している方が対象となります。

 

アメリカの教育機関で非学術的または職業的教育や研修を受ける場合、例えばメイク専門学校や調理専門学校、ダンス学校などに通学するためにはM-1が必要になります。ただしM-1を取得した場合、就学中は就労は不可です。その代わり就学終了後にプラクティカルトレーニング制度があり、就学期間4ヵ月に対して1ヶ月の就労が認められているので、就労は在籍している学校の責任者に許可を取ってから申請してから労働に就くことができます。

 

就労はF-1の場合もですが、業務内容と就学の内容が一致していることが条件です。また取得方法はF-1と同じようにI-20を取得後、在日アメリカ大使館または領事館で面接を受けて合格することで取得することができます。

交換留学に必要なJ-1ビザ

J-1は技術を習得するためにアメリカの学校に通うために渡米するのではなく、学生が関心のある企業で実際に勤務して就労したり、訪問をして業務内容や環境での体験をすることで労働を実感するインターンシップや、文化交流を目的としてアメリカに滞在することを希望している方が必要とするビザです。

 

F-1やM-1とは違い、就労が可能で給与を得ることができます。J-1には科学や建築、法律、芸術などで14のカテゴリーがあり、アメリカ国務省が認定した職種、あるいは業種についてインターンシップをすることが可能で、研修を行うと発給されます。

 

取得することで滞在できる期間は1年または1年半で、この期間の長さが一般的です。J-1取得に年齢制限はありませんが、研修をするためのビザなので、20代から40代の年齢層が一般的です。

 

J-1で交換留学を希望する場合の取得方法は通学予定の学校からDS2019と呼ばれる滞在許可書を発行してもらい、在日アメリカ大使館または領事館で面接を行い、合格したのち取得となります。

 

そうではなく企業での勤務に就く場合にはDS2019をアメリカのスポンサー企業から発行後、英文履歴書を作成して在日アメリカ大使館またはまたは領事館で面接を受け、合格後取得になります。

短い期間の留学で必要になるESTA

ESTAはアメリカ国内を観光、または商用を目的としている方が必要なビザ免除プログラムです。ビザを取得しない場合、90日以内の国内滞在がESTAを携帯することで可能になります。また短期間の滞在の場合には、ESTAの登録が義務付けられています。

 

そのためESTAは正確にはビザではなく、許可証なのでF-1やM-1、J-1などとは違い、取得方法としてはインターネットからでも簡単に申請することが可能です。有効期限は申請日から2年間で、再申請をして許可を得る必要がなく、何度でも使用することが可能です。

 

就学や就労のためにビザを取得している場合にはESTAの申請の必要はありません。留学をする際でもESTAを利用して滞在することは可能ですが、他のビザとは違い、滞在期間は90日以内、1週間で受ける授業時間は18時間未満であることが条件です。

 

例として語学を勉強するために渡米をする場合、授業を受けた後は観光をすることを目的とするのなら、ESTAを利用して短期間留学をすることも1つの方法です。申請はアメリカ税関のホームページから申請をしますが、事前にパスポートと支払いのためにクレジットカートを準備しておくことが必要です。

ESTA申請はこちらから

HビザとOビザ、Qビザについて

アメリカ留学に必要なビザは他にもHやO、Qなどの種類があり、これらは労働内容に基づいて発行されるビザです。

Hビザ

Hビザはもっとも一般的な就労ビザで、留学の場合はH-1Bを取得します。事前に取り決められている専門職に就くことを目的としている方が必要とするビザで、特定の学士あるいは学士と同等の学位を持つ方が主に取得します。滞在期間は初回は3年、最長で6年の滞在が可能です。

Oビザ

Oビザは映画や芸術、教育やスポーツなどについて秀でた技術、または能力を持つ方、あるいは映画やテレビなどで業績を上げた方や遂行するための補佐を行う方に発給されるビザです。ただしどのような場合でも3年の滞在期間を超えることがなく、最初の滞在で3年経過して延長をする場合には滞在延長の更新が1年ごとに必要になります。

Qビザ

Qビザは実地訓練や雇用、訪問者の国の歴史や文化または伝統を普及させることを目的とした方が必要とするビザです。国際文化交流プログラムに参加し、アメリカに滞在する時に発給されるので、プログラムの主権者になる方が請願書を作成して提出することでアメリカの国土安全保障省にある移民局から許可してもらう必要があります。

取得方法の主な流れと費用

アメリカ留学のためにビザの取得方法として、事前にパスポートの作成または更新を済ませ、次に滞在中に通学する予定の学校へ入学申請をしてI-20を取得します。さらに必要になるビザの種類を確認し、何をしにアメリカ留学をするのか目的を確認します。I-20を取得する際には銀行の残高証明書を英文で作成して、パスポートのコピーと一緒に提出し、必要な料金を支払います。

 

さらにDS-160ビザ申請について英文で記入をして送信をして、確認ページについて印刷を行います。終了した後にアメリカ大使館にSEVIS I-901の費用をオンラインで支払い、オンライン予約システムを介してプロファイルを作成してからビザ申請料金を支払い、アメリカ大使館または領事館で面接するため予約をしてから面接を受けます。

 

面接をして問題がない場合には学生ビザが貼り付けられたパスポートが返却され、ビザの受け取りを大使館でするか、自宅に郵送するかを選択します。取得方法は予告なく変更されることもあるので、アメリカ留学を希望する、または予定している場合は常にインターネットで最新の情報を確認しておくことが大切です。

 

また必要な費用はビザ申請だけで160ドル、また申請に伴いSEVIS費用で350ドルかかります。

アメリカビザ SEVIS(セビス)について

ビザ取得の際の面接について

ビザ取得で面接を受ける際に、事前に持参する持ち物について確認し、用意をしておく必要があります。また提出する書類についてはすべて英文で記入してあることと、原本であることが必要です。

持ちもの

持参する持ち物としてDS-160フォーム、パスポート、6か月以内に撮影した写真、面接予約確認書や留学先または通学予定の学校から贈られたI-20SEVIS費用が支払われていることを示す確認書類財政能力があることを証明する書類、また現在通学している学校の成績証明書になります。

質問内容

さらに面接を受ける際にパソコンの持ち込みは不可になっているので、注意が必要です。加えて面接時では何故アメリカ留学をするのか、留学をする際に何故その留学先または学校を希望したのかを主に訊ねられます。さらにアメリカ留学中にどこに滞在するのかということで滞在先や滞在する期間はどのくらいか、過去にアメリカへの渡航はあるのか、現在日本では何を勉強しているのかなど、アメリカ留学の目的に関して詳細に聞かれます。

 

また滞在中に不法労働や不法滞在がないことを確認するために留学費は誰が支払う、または負担してくれるのか、学校卒業後は何をするつもりなのか、アメリカに知り合いはいるのかなどの質問をされる可能性もあります。

ビザの延長が必要な場合はどうすればよいか

アメリカ留学で学生として取得するビザはF-1またはM-1がほとんどですが、F-1では滞在できる期間は最長で5年となり、滞在している方によって期間の長さも異なるので、延長に関してはI-20で許可されている滞在期間を確認して決定されます。

 

例を挙げるとF-1で滞在できる期間が1年であっても1-20では半年の滞在が許可されているとアメリカ国内に滞在することができるのは半年で、1年の滞在は不可です。それ以上の滞在をしようとすると不法滞在になるので、注意が必要になります。

 

M-1に関しても同様で、滞在期間は最長でも1年間になります。しかし事情があり滞在を延長する場合、更新をすることは可能です。更新を希望する際、手続きができるのは日本国内に限定されます。またビザの発給は大使館が行うため、在日アメリカ大使館に申請をする必要があります。そのため更新の手続きのため、日本に一時帰国して、日本からビザを申請していることを証明するために、日本への入国スタンプが必要になります。

 

加えてビザの有効期限が切れていなくても、先に更新手続きを済ませることは可能です。そうではなくビザの有効期限中でも5ヶ月以上学業を中断して帰国する必要性がある場合、資格がなくなるので注意が必要です。

留学から移住を検討している場合

アメリカ留学中にアメリカに永住したいと考えた場合、まず高い語学力の習得、就労経験と資格またアメリカで就労できるだけのスキルを得ること、永住できるための資金を確保すること、必要なビザを取得することです。

 

ビザの取得方法として卒業ビザや就労許可を申請して、一時滞在をすることで職務経験を積む、あるいは就労ビザを取得して就労経験を積むという方法が挙げられます。

 

さらにアメリカへの移住の際には、グリーンカードと呼ばれる永住権の中でEB-2またはEB-3ビザの申請を目標とすることが必要になります。EB-2は化学や芸術、事業などの分野で修士以上の学位を持つ方、また学士号以上の学位を持っていて5年以上の職務経歴を持つ方、EB-3は専門的職業で学士の学位を持ち、当職で2年以上の訓練または就労のある方が申請できます。

 

どちらのビザの習得にもスポンサーとなる雇用主や労働省による審査を受ける必要があります。この時スポンサーを探すのに活用できるのがオプショナルプラクティカルトレーニング制度で、期間中に雇用主は自分で見つける必要があり、業務内容は自分が先行していることに関連していることが条件です。

まとめ

アメリカ留学をする際のビザの取得は難しいと言われており、書類で記入の間違いや漏れがあると余計に時間が必要になり、ビザ発給を拒否されてしまう可能性があるので、提出前には十分に確認をすることが大切です。留学エージェントがビザの申請をサポートしている場合もございますので、学校の申し込みと一緒にビザのサポートもエージェントに頼むのがおすすめです。

酒井大輔

大学時代にアメリカ/カナダをバスで横断。ロサンゼルス、サンフランシスコ、シアトル、ワシントン、ニューヨークなど様々な都市を3か月かけて巡りました。カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)の付属語学学校に通った後、MBAに進学。家族と2年間サンディエゴで暮らしました。

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